human-writing-ja
日本語文章からAI臭さを取り除くスキル。技術文書、ビジネス文書、ブログ、メール、報告書などに適用する。
このスキルの目的
AIが生成した日本語には特有のパターンがある。 文法的に正しく、誤字もないが、「何か気持ち悪い」「心がこもっていない」と感じさせる文章になりがち。 パターンを排除し、人間が書いたように読める文章を作るのが目的。
文体の原則
ですます調、だ/である調、体言止めのどれが良い・悪いということはない。文書の目的や読者に合わせて選ぶ。
| 文書タイプ | 一般的な文体 |
|---|---|
| 企画書 | ですます調 |
| FAQ | ですます調 |
| ビジネスメール | ですます調 |
| 報告書 | ですます調 |
| 製品説明 | ですます調 |
| 社内アナウンス | ですます調 |
| 議事録 | 体言止め |
語尾の単調さを避ける
AI臭さの原因は「特定の文体を使うこと」ではなく「同じ語尾が連続すること」と「個性のなさ」にある。 「です」が3回続いたら、4回目は「でした」「になります」に変える。
日本語らしい文章にする
指示代名詞を減らす
「それ」「その」「これ」「この」を減らす。省略するか具体的な名詞に置き換える。
■問題
この機能はユーザーに人気です。それは使いやすいからです。その結果、売上が伸びました。
■改善
使いやすいと評判で、売上も伸びています。
日本語では指示代名詞を省略するか、具体的な名詞に置き換える。
主語を省略する
同じ主語が続く場合は最初だけ書く。
■問題
私たちはこのツールを開発しました。私たちはユーザーの声を聞きました。私たちは改善を重ねました。
■改善
ユーザーの声を聞きながら改善を重ね、このツールを作りました。
「が」と「は」の混乱
■問題
この問題が重要です。解決策が必要です。
■改善
この問題は重要です。解決策が必要です。
改行の入れ方
英語式の「1段落=1トピック」で空行を入れる書き方は避ける。日本語では句点ごとに改行してよいが、すべての改行で空行を入れるのは不自然。
■問題
設定ファイルを開いてください。portの値を8080に変更します。保存したらサーバーを再起動してください。 再起動後、ブラウザでlocalhost:8080にアクセスします。ログイン画面が表示されれば成功です。
■改善
設定ファイルを開いてください。portの値を8080に変更します。 保存したらサーバーを再起動してください。 再起動後、ブラウザでlocalhost:8080にアクセスします。 ログイン画面が表示されれば成功です。
※ルール
- •改行の判断で最も重要なのは文脈。文の量は副次的な判断材料。
- •口に出して読んだとき、間を置かずに続けたい内容は改行しない。
- •補足や言い換えなど、つなげて書いたほうが安心感のある文は改行しない。
- •話題が変わるときだけ空行を入れる。
フレーズの注意点
詳細は references/phrases.md を参照。
多用に注意
「これにより」「〜することができます」「~において」は多用すると機械的になる。短くできる場合は短くする。
「さまざまな」「多くの」「あらゆる」
具体的な数字や例に置き換える。
■問題
さまざまな業界で導入されています
■改善
製造業、小売業、金融業の83社に導入いただいています。
「深掘りしていきましょう」
■問題
この問題について深掘りしていきましょう
■改善
削除してそのまま本題に入る
「~と言えるでしょう」「~かもしれません」
事実なら断定する。
■問題
この方法が有効だと言えるでしょう
■改善
この方法は有効です。
構造の問題
同義反復
同じ内容を言い換えて繰り返さない。1つの主張は1回だけ書く。
■問題
柔軟な対応が必要です。そのためには、適応力を高めることが重要です。変化に対応できる体制を整えることが大切です。
■改善
状況に応じて動ける体制が必要です。具体的には、週次で方針を見直す会議を設けます。
因果関係の欠如
「重要です」「大切です」「必要です」で終わり、理由や根拠を示さない。
■問題
セキュリティ対策が重要です。定期的なアップデートが必要です。
■改善
先月だけで3件の脆弱性が報告されています。週1回のアップデートを必須としてください。
語尾の単調さ
同じ語尾が3回以上続くと単調になる。どの文体でも同じ。
■問題
この機能は便利です。設定も簡単です。すぐに使えます。効果も高いです。
■改善
この機能は便利です。設定も簡単で、すぐに使い始められます。1週間で効果を実感できました。
■問題
この機能は便利だ。設定も簡単だ。すぐに使える。効果も高い。
■改善
この機能は便利だ。設定は3クリックで終わる。使い始めて1週間で効果が出た。
箇条書きの過剰な整形
同じ文字数、同じ語尾、完璧に構造化された箇条書きは「説明書感」が出る。
書式ルール
禁止
太字、絵文字、脈絡のない半角スペースは使わない。
太字は以下の全ての場所で禁止。
| 場所 | 例 | 見落としやすさ |
|---|---|---|
| 通常テキスト | **重要** | 低 |
| 引用ブロック内 | > **注意** | 高 |
| 箇条書き内 | - **項目** | 中 |
| 番号付きリスト内 | 1. **手順** | 中 |
| ラベル | **手順:** | 低 |
コロンの扱い
日本語文書でのコロンは不自然。以下の全てを禁止する。
| 禁止パターン | 例 | 修正方法 |
|---|---|---|
| 見出しのコロン | ## 設定方法: | ## 設定方法 または ## 設定方法(詳細) |
| 文末のコロン | 以下を確認する: | 以下を確認する。 |
| ラベルのコロン | **手順:** | ■ 手順 |
| 引用内のコロン | > 注意: | > ※注意 |
■ 記号付きラベルの例
■問題 - ほげ - ふが ■改善 - ほげほげ - ふがふが
インラインでの区切りには全角スペースや括弧も有効。
問題(企画書) 改善 → ほげほげ
日本語で使える記号
以下の記号を場面に応じて使い分ける。
| 記号 | 用途 |
|---|---|
| ■ ● | 見出し、ラベル、強調項目 |
| ・ | 箇条書き |
| ※ | 注釈、補足 |
| → | 変換、結果、参照先 |
| 【】 | 見出しの囲み、カテゴリ表示 |
| ○ ☆ ★ | 評価、重要度、チェック項目 |
制限
- •説明文中の箇条書きは連続3項目まで(読者が飽きる)
- •ただしチェックリスト、問題点の列挙、参照リストは例外(箇条書きが適切)
- •emダッシュ(—)は1段落に1回まで、同じ語尾を3回以上続けない
内容の問題
テーブルの活用
数値の比較、項目の一覧、調査結果などはテーブルで整理する。同じ情報を文章で書くより読みやすくなる。
■テーブルが有効な場面
- •複数項目の比較(競合比較、機能比較)
- •数値データの提示(売上推移、アンケート結果)
- •課題と影響の対応関係
- •システム構成や組織体制の一覧
■文章が有効な場面
- •原因と結果の説明
- •経緯や背景の説明
- •具体的なエピソード
テーブルと文章を組み合わせる。テーブルで概要を示し、文章で補足説明を加える形が読みやすい。
具体性を入れる
固有名詞、具体的な数字、実際の事例を入れる。
■問題
多くの企業が導入し、高い評価を得ています。
■改善
A社、B社、C社など42社に導入いただき、平均で作業時間が35%削減されています。
主観を避ける
指示やコンテキストにない感想・意見・体験談は入れない。企画書や報告書などのビジネス文書では客観的な事実のみを書く。
■入れてよいもの
- •具体的な数字、事実、事例
- •プロンプトやコンテキストで与えられた情報
■入れてはいけないもの
- •「〜と感じました」「〜が印象的でした」などの感想
- •「〜すべきです」「〜が望ましい」などの主観的な意見(指示がない場合)
- •架空の体験談やエピソード
文書更新の原則
更新後の文書は、ゼロから書いた場合と同じ仕上がりにする。 以下の要素は文書に含めない。
- •変更履歴(「〜を追加」「〜から変更」)
- •更新日(「2024年1月更新」)
- •移行メモ(「旧バージョンでは〜」)
- •差分説明(「前回との違いは〜」)
読者が見るのは最新版だけ。過去の経緯を知る必要はない。
チェックリスト
文章を書いたら確認する。
フレーズ
- • 「これにより」「~することができます」「~において」を多用していないか
- • 「さまざまな」「多くの」を使っていないか
- • 「~と言えるでしょう」を使っていないか
構造
- • 同義反復がないか
- • 「重要です」で終わる文に理由があるか
- • 文の長さに変化があるか
- • 説明文中の箇条書きが4つ以上続いていないか
書式
- • 太字を使っていないか(引用内、リスト内、番号付きリスト内も含む)
- • 見出しがコロン終わりになっていないか
- • 文末がコロン終わりになっていないか(
以下を確認する:など) - • ラベルがコロン終わりになっていないか(
**手順:**など) - • 絵文字がないか
- • 謎の半角スペースがないか
- • すべての改行が空行(段落分け)になっていないか
内容
- • 具体的な数字や固有名詞があるか
- • 指示にない感想・意見・体験談を入れていないか
- • 「それ」「その」が多すぎないか
- • 変更履歴、更新日、移行メモ、差分説明を含めていないか
語尾
- • 同じ語尾が3回以上続いていないか
- • 文書の目的に合った文体になっているか
検証手順
目視だけでは見落としが発生する。修正後は以下の検索を実行して漏れを確認する。
必須の検索パターン
修正完了後、Grepツールで以下を検索する。
| 検索対象 | 検索パターン | 期待結果 |
|---|---|---|
| 太字 | \*\* | 0件 |
| 文末コロン | :\s*$ または :\s*$ | 0件(コードブロック内は除く) |
| 見出しコロン | ^#{1,6}.*: | 0件 |
| 引用内太字 | >\s*\*\* | 0件 |
見落としやすいパターン
以下は目視で見逃しやすい。意識して確認する。
■ 太字のバリエーション
**ラベル:** ← 典型的なパターン > **引用内の強調** ← 引用ブロック内 1. **番号付きリスト** ← リスト内 - **箇条書き内** ← 箇条書き内
■ コロンのバリエーション
## 見出し: 補足説明 ← 見出し内 以下を確認する: ← 文末 **ラベル:** ← 太字ラベル フォーマット: ← 段落末
■ 箇条書きの数え忘れ
4項目以上の箇条書きを見つけたら、例外(チェックリスト、問題点列挙、参照リスト)に該当するか確認する。該当しなければ文章化する。
ダブルチェックの実行
1回の修正で全ての問題を解決できるとは限らない。修正完了後、以下を実行する。
- •上記の検索パターンを全て実行
- •検出されたら修正
- •再度検索して0件になるまで繰り返す
評価基準
5軸で評価する。各10点満点。合計35点以下なら改稿。
| 軸 | 観点 |
|---|---|
| 直接性 | 回りくどくないか。本題にすぐ入っているか |
| 具体性 | 数字、固有名詞、事例があるか。抽象語に逃げていないか |
| リズム | 文の長さに変化があるか。語尾が単調でないか |
| 温度 | 体験や感情が感じられるか。温度が一定でないか |
| 密度 | 削除しても意味が変わらない部分がないか |
参照ファイル
- •
references/phrases.md- 禁止フレーズの完全リスト - •
references/patterns.md- 避けるべき構造パターン - •
references/examples.md- before/afterの具体例